海

好きな俳優さんが亡くなって1週間経った。

良くある「好きな俳優は?」「好きなタイプは?」がテーマの会話。
最初に答えるのが「ジェイソン・ステイサム」で、大抵「誰それ」なんて言われるので、どうせ知らないだろうライアン・ゴズリングとギョーム・カネを飛ばして「はー、知らないかぁ。日本人だと三浦春馬くん。」と答えていた。

ジェイソン・ステイサムが好きなのは今のパートナーに似ているからで他とはちょっと違うけど、ライアン・ゴズリングとギョーム・カネ、三浦春馬さんの共通点は笑ったときのクシャッとした笑顔だと思う。

有名人が亡くなったニュースで、こんなに胸が苦しくなった事は、これまで無かった。
身内でも同僚でも無い、なんの接点も無い画面の向こうの人だけど、表現しようもない喪失感でいっぱいになった。
ただ時間を戻して、苦しみの中にいる人の魂を、大丈夫だからと、ただ大丈夫だからと伝えて抱きしめてあげたい気持ちでいる。

こんな時、積極的に明るい話題について思うより、ズブズブに喪失感の海に溺れたくなってしまうところがある。
だからまた、あの本を読もう、と、洋書を扱う大きな書店までわざわざ行ってベルンハルト・シュリンクの『The reader(邦題:朗読者)』を買ってきた。何度も読んで人に貸しているうちにどこかにいってしまっていたので。

読もうと思っていた矢先、今日の事。

最近同じ部署で働くようになった方に「こなつさん、A病院には何年いたんですか?」と聞かれた。
「転職とか産休もあったけど、6年くらいはいましたかねぇ。そこは2013年に配属されました。」「2013年ですかぁ…。」
その先の会話が続くわけではなく、そこで終わってしまったので、しばらくして私からも雑談のつもりで質問をしてみた。「○○さんはお子さん何人いらっしゃるんですか?」「今○歳と、それから…20歳で亡くなった子が。」

ハッとした。

あぁ。なんて事だろう。

「あ…あの。○○さんて、○○さんてその子…A病棟にいましたか?」「え?覚えているの?だって2、3日しかいなかったのに。」

覚えていないわけない。 たった2、3日だったけれど、その子の事は本当に強く印象に残っていた。自分の病院では手に負えず、転院してからもどうしているのかと気にしていた。

亡くなったのを知ったのは、その1年後だろうか。インターネットニュースに出ていたのだ。若くして亡くなった彼が、どんなに周りに愛されていたかが解る記事だった。

つい潤みながら、病室で見た彼の思い出話をいくつかさせて貰ったところ、「実は…本になっているんです。」と、教えてくれた。

いつも病室で、あるものを書いていた彼。その夢を彼の仲間達が一生懸命に叶えたのはニュースで知っていた。それが本になっていたなんて。

その場でAmazonで注文したから、明日には届くだろう。

人生は、辛いことも沢山あるけれど、時々、こんな風に小さなキセキのような出来事が散りばめられている。

私は生きるのが好きだ。

嫌なことも、楽しい事も、不味いものも、美味しいものも、見たくないものも、見たいものも、全部生きているうちに味わい尽くしたいと思う。

夢を持ちながら20歳で亡くなった彼は勿論、自ら死を選んだ人も、きっともっと生きたかっただろうと思う。

その人たちの分も…だなんて、なんの接点も無い私が言うのはおこがましいけれど、それでも、生きられなかった人の分も私は生きたいと思う。

『The reader』は置いといて、明日の休みにはそれを読むんだ。

泣いちゃうかな。きっと泣いちゃうな。

でも休みだから。目が腫れちゃっても、大丈夫だと思うんだ。

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コメント

  1. Yudai Yudai

    奇跡を起こす生き方が少しわかったような気がします。ありがとうございます!

  2. neco neco

    思わず私も買ってしまいました。
    泣いちゃうと思われます。

  3. こなつ こなつ

    是非(T_T)‬

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